奈良発靴ジャーナル

2024/03/12
「奈良木型」と「奈良木型の靴」
「奈良木型」と「奈良木型の靴」
「奈良木型」と「奈良木型の靴」

靴づくりに欠かせない靴の「木型」。革靴は平らな革を靴の形をした木型の上から下方向に強く引っ張って、革を形成してつくられます。木型はいわば靴の原型。通常、靴メーカーは木型をそのメーカーだけで制作、所有し、社外に持ち出すことはありません。

そんな「木型」を複数メーカーが共同で開発し、共有するという、かつてない試みが、奈良の7社の革靴メーカーにより始まりました。(紳士靴の木型です)それには訳があります。

革靴業界では、長い間「日本人の甲高幅広の足に合う」という説明で、3E4E といった広い足幅(ウィズ)の靴がつくられてきました。しかし、元来足の形は人それぞれであり、広いウィズの靴が足に合わない消費者も多いのです。また、年月と共に消費者の足の形も変化し、最新の足サイズ計測事業によると、44歳以下の日本人男性のウィズの中央値は E となり、Eまたはそれより細い足の消費者が全体の約半数を占めています。

にもかかわらず、広いウィズの靴には細い足は(ちゃんとフィットはしなくとも)入ってしまい、細い靴には幅広の足は入らないため、大手小売店は幅広の靴を求め、「日本人の甲高幅広の足に合う」として、3E4E などの幅広ウィズの靴を売り続けています。つまり、細い、また細めの足の方は、フィットしない靴を履かざるを得ない、というのが現状なのです。

このままでは、今では全体の過半数を占める至った細めの足を持つ消費者は革靴が足にしっかりフィットする革靴の良さを体験する機会が得られず、消費者の革靴離れは加速しかねません。

より多くの足にしっかりしたフィットを提供しつつ、変わってきた足形傾向にも対応する靴を提供しなければならない。その思いを共有する奈良の7社の革靴メーカーが、共同で新たな「木型」を考え、細くて薄い足に合う靴 と 幅広、甲高の足に合う靴をつくることができるよう、2つのウィズ(DEE)と 12のサイズ(23.529.0cm)を持つ木型 「奈良木型」 を共同開発しました。

2種類のウィズを、幅広いサイズで揃えている靴があれば、もっと多くの方に、革靴が本来持つ快適な履き心地を味わっていただけるようになるはずです。

サイズやウィズを持つことに加えてもうひとつ考えなければならないのが、日本人の足形の変化です。前述の調査では、同じ足囲(足幅、ウィズ)を持つ人でも、以前に比べて薄い足を持つ人が増えていることがわかったのです。

「奈良木型」はそうした足形の変化の傾向を考慮し、甲の前部を薄めに、しかし足指あたりの左右の幅にはゆとりを持たせ、指先への圧迫を抑えるべくつま先に丸みを持たせて、設計されています。

上段がウィズ「D」下段がウィズ「EE

早速、奈良の革靴メーカーの一部で、この木型を使った革靴をつくり始めています。

多くの方にしっかりフィットする革靴の快適な履き心地を味わっていただく。その目的に対して、これは小さな一歩でしかありません。ユーザーの方々にどうやってぴったり合うサイズとウィズを見つけていただくか、など、先の課題はまだまだありますが、この木型がそこへ向かっていく出発点となれば嬉しい。「奈良木型」はそういう思いから生まれたのです。

※奈良木型のページもご覧ください https://nara-shoes.jp/narakigata/

 

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