国内有数の革靴産地である奈良県大和郡山市。この地の7社の革靴メーカーは、ここ数年、革靴産地としての奈良のPRや奈良らしさを込めた革靴ブランド、KOTOKAを共同開発するなど、厳しい市場の中で縮小を続けてきた革靴産地の将来を築くいくつものプロジェクトを推進しています。同時に、各社それぞれで新たな市場を開拓する努力も続けています。
7社のうちの一社である、シャミー。コストパフォーマンスの高いビジネス靴を主に大手量販店向けに製造販売してきたメーカーです。このシャミーが7年ほど前に始めた、新規市場開拓の試みはレザーグッズ。Native Creation (ネイティブクリエイション) というブランドで、ウェブショップを通して直販し、順調に成長してきています。
「長年つくってきたビジネス靴は男性向けの保守的なアイテムで、販売も大手量販店頼みです。これとはターゲット層も販売方法も大きく違うことをやりたかったんです。」と社長の南岡氏。自身が趣味でつくっていた革小物を参考に、革靴づくりで培ったノウハウを生かせる設計とし、素材の良さが生かした、飽きの来ないシンプルなつくりのものとしたそうです。
つくりがシンプルな分、素材にこだわりました。メインで使用するレザーは、世界でも高く評価される日本の革、栃木レザーです。植物タンニンで時間をかけてなめした、いわゆるヌメ革。カラフルな色も揃え、多い場合は8~9色のバリエーションを持たせています。南岡氏の狙い通り、女性ユーザーも多いようです。
革靴メーカーであるシャミーが、レザーグッズに力を入れ始めたのには理由があります。量販店向でのビジネス靴が安価な輸入品に押されて自社工場での生産が落ちてきた時、現場で働く従業員を減らすより他の仕事を与えて雇用を維持したかったからだそう。
靴づくりの技術がそのまま生かせる、シンプルな設計のものからスタートしたのは、そのためです。革の扱い、裁断、ミシンによる縫製、などは靴も革小物も基本は同じだからです。
まずはスマートフォンケースから初め、キーケースや財布など、少しずつ品揃えを充実させてきました。現場の従業員の手が慣れてくると、手縫いや染色など、レザーグッズ独特の工程も取り入れ、アイテムのバリエーションもさらに広がってきました。手染めならではの美しい陰影を持つものも加え、ウェブショップでの販売も順調に拡大。会社の新たな柱に育ってきています。現在では工場のレザーグッズラインもフル稼働。増員を計画中だそうです。
従業員のモチベーションも変わってきました。というのも、もともと、裁断、縫製作業は女性が多いのです。男性向けビジネス靴をつくっていた頃と違い、男女ともに使えるカラフルなレザーグッズは、彼女たちも自らユーザーになれるアイテム。日々製造に携わりながら、ユーザーとして、使い勝手やデザインを考えることができるのです。自主的な提案もよく出てくるようになり、現場の雰囲気も明るくなった、と南岡氏は言います。
製造は基本的に受注生産。ウェブショップでオーダーが入ってから10営業日で商品を製造し、発送します。商品在庫も少なく済み、ユーザーへの直販なので流通マージンも少ないため、リーズナブルな価格設定が可能。Native Creation の人気の理由のひとつとなっています。
「今後は、もう少し大型のアイテムにも挑戦したいですね。」と南岡氏。上質な素材の風合いを生かし、シンプルで、長い間使え、経年変化も楽しめるレザーグッズ、Native Creation。奈良の革靴産業から生まれた、これからが楽しみな革製品のブランドです。
Native Creation ウェブショップ
https://native-creation.com/
シャミー株式会社
〒639-1042 奈良県大和郡山市小泉町2475-12
Tel : 0743-53-6221
E-mail : info@native-creation.com