奈良発靴ジャーナル

2022/10/21
靴EXPO 2022
靴EXPO 2022
靴EXPO 2022

私達、奈良靴産業協同組合所属の革靴メーカー7社は皆、奈良県大和郡山市で靴の製造を行っています。このように一つの地域にある程度の数の靴メーカーが存在し、靴づくりが地場産業の一つとなっているところは全国でもそれほどありません。奈良県大和郡山市は、東京の浅草周辺、大阪の西成地区、神戸の長田地区などに次ぐ、靴づくりの土地なのです。

しかしながら地元でも、大和郡山に、または奈良県内に、靴産業があることをご存知の方は少ないのが現状です。この状況を変えたいと、奈良の靴とその面白さを発信するプロジェクトを立ち上げたのが3年ほど前。その中で、7社で共同開発した革靴ブランド KOTOKA  が生まれ、それを軸に奈良産の靴が少しずつ知っていただけるようになってきました。

こうした活動の中で、地元、大和郡山のイオンモールさんが「靴EXPO」というポップアップイベントの場を用意してくださったのが昨年。地元の方よりの「奈良で靴をつくっていたんや」と驚きながらも良い反応を得ることができ、今年もイベントを開催することになりました。

 

 

916()19()4日間、イオンモール大和郡山で開催された「靴EXPO 2022」は、靴を販売するだけのイベントではありません。靴づくりの様子や歴史を知っていただいて、クイズやワークショップを通して靴や革に親しみを持っていただこうという企画です。

 

 

パネルやモニターを使った展示で、奈良の靴工場での靴づくりの工程や、日本、そして奈良での靴づくりの歴史、奈良らしさをこめた靴である KOTOKA の姿をご紹介しました。

 

 

当日はオリジナルのレザーコースターをつくるワークショップも開催されました。コースターに好きな絵を描くことができることもあり、親子で参加されているお客様が多くいらっしゃいました。

 

 

もちろんメインは実際に奈良でつくられた靴たちです。奈良の靴メーカー7社それぞれが自社の靴や革小物を展示販売するエリアには、たまたまイオンモール大和郡山にお買い物にいらっしゃったお客様、近隣エリアより、このイベントを目的に来場されたお客様が、色々な靴をご試着されたり、お買い上げくださったり、また靴のつくり手と直接お話ししたり、とイベントを楽しんでいらっしゃいました。

 

 

もちろん、7社が「奈良らしさ」を込めた靴として共同で開発したKOTOKAをフルラインで揃えたコーナーも人気でした。ECでの販売を主とする KOTOKA の全てを見て、試し履きをして、その場で購入できる場所はそれほどないため、これを目的に来場されたお客様も少なくありませんでした。

KOTOKAをお試しくださったお客様からは「革靴とは思えないほど軽い」や「シンプルな見た目なので合わせやすそう」「奈良県発の革靴のことを知る良い機会になった」など、嬉しいお声を頂戴することができました。

 

 

吉野チャッカや、ECでの発売に先駆けて、このイベントでリリースされた一枚革スリッポンの新色にも興味を持ってくださるお客様も多く、KOTOKAをご存知くださるお客様が増えてきていることを実感することができました。

また、7社それぞれの個性ある靴が各社のブースに並び、奈良の靴にもさまざまな種類のものがあるのを知っていただく好機にもなりました。以下、各社について簡単なご紹介をさせていただきます。(五十音順)

オリエンタルシューズ 株式会社

本格的ドレス靴からスニーカーまで幅広いタイプの靴を製造する技術と設備を持ったメーカーです。自社ブランドの開発にも積極的で、奈良で靴をつくっていきたいという想いを込めた「YAMATO ism(ヤマトイズム)」や人の歩き方に着目した「MID FOOT」など、様々な特徴の靴を並べていました。

 

北嶋製靴工業所

ヒールアップシューズという分野で日本を代表するメーカーです。お客様からの電話への丁寧な対応など、高い顧客サービスでお客様から強い支持を得ている企業です。今までは、ニッチな分野であったヒールアップシューズを、幅広く知られ、求められる靴にしたいと努力を続けています。

 

シャミー 株式会社

量販店市場向けに、コストパフォーマンスを追求したビジネス靴を供給してきたメーカーです。ここ数年は、革靴づくりのノウハウを活かして新たな事業展開として革小物に力を注ぎ「Native Creation」というブランドを成長させてきました。革小物の展開は、紳士靴にはないカラフルな色どりをイベントに添えてくれました。

 

 

株式会社セランド

ビジネス靴を主力としながらも、近年は女性向けウォーキングシューズに力を入れており、上品なカラーリングの、軽量で歩きやすい靴のラインナップはイオンモールのお客様の大きな指示を得て、ブースにはたくさんのお客様がいらっしゃっていました。

 

 

出原製靴(エンパイヤシューズ)

警官や県職員向けの仕事靴の製造を主力としながらも、デザインにひねりを加えたビジネス靴を展開するメーカーです。どこか違ってお洒落な、それでいてリーズナブルな価格のビジネス靴を展示しており、若いビジネスマンのお客様を惹きつけていました。

 

 

トロ―ベルシューズ 株式会社

家族全員が工場で靴づくりや管理、事務の仕事をする、アットホームなメーカーですが、近年はより付加価値の高い靴をつくろうと、木型、素材、デザインの開発に力を入れています。後継者不足に悩む製造業の中にあって、これからが楽しみな企業でもあります。

 

東浦秀次商店

ソールレザーなど靴の底材、部材メーカーである傍ら、親族の靴職人を迎え入れて靴や革小物づくりにも取組み、KOTOKAやレザースニーカー、個性豊かな革小物をつくっているメーカーです。従来の靴メーカーとは少し違った視点でつくる新鮮味あふれる靴が並んでいました。

 

 

日々、靴工場で働く私達が、直接消費者の皆さまと触れる機会はあまりありません。その意味で、イオンモール大和郡山さんで開催された「靴EXPO2022」は、貴重な場です。お客様とお話ししながら靴のご紹介をしたり、お買い上げいただいたりすることで、大きな喜びと共に、貴重な気づきや新鮮な着想も得ることができました。

奈良県大和郡山市の靴メーカーと地元のお客様との繋がりをつくることができる「靴EXPO2022」。イオンモール大和郡山さん、会場に足を運んでくださった皆さま、本当にありがとうございました!

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